マンデルブロ集合の図を理解するための基礎知識・複素数の演算について

2022年5月29日マンデルブロ集合

前置き

マンデルブロ集合の描き方複雑さについて理解するために必要な知識を、数ページに渡って解説します。

前のページでは虚数複素数について説明しました。

このページではその知識を基に、複素数の四則演算について説明します。

複素数について

複素数というのは、

\(x+iy (x,yは実数)\)

というように、実数と複素数を足した形で表される数だと説明しました。

このとき、xを実部iyを虚部と呼ぶという説明もしました。

ちなみに、iは虚数単位という2乗するとマイナス1になる数で、

\(i^2=-1\)

という式が成り立ちます。

さて、複素数の四則演算を具体的に見てみましょう。

複素数の足し算と引き算

まずは足し算です。

\((7+3i)+(5+4i)\)

という計算をしてみましょう。

ここでポイントとなるのが、前のページで説明したとおり、iは文字のように扱えるということです。

なので、

\((7+3i) + (5+4i) \)

\(= 7 + 5 + 3i + 4i \)

\(=12+7i$\)

となります。

引き算も同様で、iを文字として計算します。

\(~(6+5i) – (2+3i)\)

\(= 4+2i\)

複素数のかけ算

次はかけ算です。

少し計算が面倒になります。

複素数同士のかけ算は、括弧の付いた数のかけ算と一緒です。

\((1+2i)*(3+4i)\)

\(=1*3+1*4i+2i*3+2i*4i\)

ここで、 \(2i*4i\)を計算するとき\(i*i=-1\) に要注意です。

ここだけは普通の文字の計算と違い、 \(2i*4i=-8\) となります。

計算を続けると、

\(3+4i+6i-8\)

\(=-5+10i\)

となります。

複素数の割り算

最後に割り算を考えます。

複素数同士で割り算をすると、

\((1+2i)/(3+5i)\)

\(=\frac{1+2i}{3+5i}\)

というように、実数と同じく分数で表すことができます。

これで終わりにしても良いのですが、この形では色々と不都合があります。

x+iyという形になっていないので、実部と虚部の大きさが分からないからです。

次のページで複素数平面について説明しますが、複素数平面では実部と虚部の大きさがとても重要な意味を持ちます。

なので、上の式を実部と虚部が分かる形にしてみましょう。

分数の分母と分子に、分母の符号を変えた複素数\(3-5i\)をかけてみます。

\( \frac{1+2i}{3+5i}\)

\(= \frac{(1+2i)*(3-5i)}{(3+5i)*(3-5i)} \)

ここで、分母の部分だけ計算してみましょう。

\((3+5i)*(3-5i)\)

\(=3*3-3*5i+3*5i+5i*(-5i)\)

真ん中の2項は消え、最初と最後の項だけが残ります。

最後の項は虚数×虚数の形になっているので、虚数は消えてしまいます

\( 3*3-3*5i+3*5i+5i*(-5i) \)

\(=9+25\)

\(=34\)

同じように分子も計算すると、

\( (1+2i)*(3-5i) \)

\(=13+i\)

となり、結局最初の分数は、

\( \frac{13+i}{34}\)

\(=\frac{13}{34}+\frac{1}{34}i \)

となります。

この形にすると、実部は\(\frac{13}{34}\)、虚部は\(\frac{1}{34}i\)だというのが一目で分かります。

このように、分母に虚数を含んでいる複素数は、分子と分母にその複素数の虚部の符号を変えたもの(例えばx+iyであればx-iy)をかけると、分母の虚数が消えます。

ちなみに、この虚部の符号を変えた複素数を、複素共役な複素数と呼びます。

x+iyの複素共役な複素数はx-iyですし、逆に、x-iyの複素共役な複素数はx+iyです。

次回は複素数平面について説明します。